シアリスのジェネリックについて|先発薬シアリスとの違いも詳しく解説

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2020年に入り、沢井製薬のタダラフィル錠「サワイ」を初め、シアリスのジェネリックが相次いで発売されています。シアリスは作用時間が長く服用しやすいため人気のあるED治療薬ですが、これまでは安価なジェネリックという選択肢がなかったため、費用面がネックになっていたきらいがあります。今後は価格競争が進むことでかなり利用しやすくなることと思われます。
このページでは承認済み(一部未発売)のシアリスジェネリック5種の情報を整理してお伝えします。ジェネリックに対して不安や疑念を持っている方もいるかと思いますので、ジェネリックについて詳しい解説も加えています。

国内承認済みシアリスジェネリックの種類と価格

現在(2020年6月26日時点)までに承認されたシアリスジェネリックは下記の5つです。シアリスの錠剤が涙型をしているのに対し、シアリスジェネリックはどれも丸い形で、シアリスよりも小さめです。割線(かっせん)付で半分に割って飲める錠剤もあります(シアリスは割線なし)。

名称・種類 製造・発売・販売元 割線の有無 発売状況
タダラフィル錠CI「サワイ」10mg・20mg 製造販売:沢井製薬 割線なし 発売済み
タダラフィル錠CI「あすか」10mg・20mg 製造:大興製薬
発売:あすか製薬
販売:武田薬品工業
10mg錠に割線あり 発売済み
タダラフィル錠CI「クラシエ」
10mg・20mg
製造販売:シオノケミカル
発売:クラシエ薬品
10mg錠に割線あり 発売済み
タダラフィル錠CI「TCK」10mg・20mg 製造販売:辰巳化学
販売:本草製薬
10mg錠に割線あり 発売済み
タダラフィル錠CI「ファイザー」
10mg・20mg
製造販売:リョートーファイン
販売:ファイザー
10mg錠に割線あり 発売準備中

【販売元等の公式情報(※1)をもとに作成】

シアリスとシアリスジェネリック各錠は主成分が同一ですが、添加物などには違いがあり、人によって効き方や副作用に違いが出る可能性もあります(後でくわしく説明します)。しかし一般的には(統計的に見れば)ED治療薬としての作用の違い(効力や即効性の差など)はとくにありません(※2)。
ジェネリック第一弾「サワイ」の発売当初は先発薬シアリスとさほど変わらない価格で処方されることが多いようでしたが、他のジェネリックも発売された現在では処方価格に開きが出てきています。

ジェネリックってどんな薬?

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薬剤に対してどんな感情を抱いているかで効果が変わってくる場合があることが知られているため、ジェネリックに不安や疑念を感じている方はジェネリックについて少し詳しく知っておくとよいと思われます。
ここではシアリスを例にしてジェネリック医薬品の概要を簡単に紹介し、後ほどさらにジェネリックの性質を掘り下げて解説します。

ジェネリックは特許切れの成分を使って安価に開発した薬

シアリスの主成分はタダラフィルと呼ばれる化合物です。タダラフィルはアメリカのイーライリリー社によって開発され、ED治療の新薬(先発薬)として特許が取得されました。特許が有効な間は、タダラフィルを用いたED薬は特許所持企業(や提携企業)だけが独占的に販売できます。
特許の期限が切れるとタダラフィルは社会の共有財産となり、他の会社もそれを用いて薬を開発できるようになります。こうして誕生したのがシアリスのジェネリック(後発薬)です。
新薬開発には莫大な予算がかかりますが、特許切れの成分を用いたジェネリックはそれよりも格段に安く開発できます。そのためジェネリックは一般的に新薬よりも安価なのです(※3)。

ジェネリックでも効果は同等。添加物には違いも

シアリスジェネリックはシアリスと同じ主成分(タダラフィル)を用いており、シアリスと同等の効果と安全性を持つことが試験で確かめられた上で認可されています。
ただし添加物の配合はシアリスと異なります。タダラフィルという化学物質の特許は消失しましたが、シアリスという製品に関する特許(添加物の配合や製造の方法などの特許)は切れていないためです。
ジェネリックはシアリスとまったく同一の薬剤というわけではないため、アレルギーや心理的要因によって使用感や副作用に違いが出ることもありますが、必ずしもジェネリックが劣るということではありません。ジェネリックのほうが使いやすい、アレルギーが出にくい、という場合もあるのです。
錠剤の形や味を工夫したり、水なしで飲めるようにしたりするなど、ジェネリック独自の特徴を持たせた薬もあります(※2)。

個人輸入ジェネリックの問題点

個人輸入(実態としては輸入販売)を通して海外製のジェネリックED治療薬が流入していますが、これには偽造薬が多いなどの問題があり、服用するのは危険です(※4)。
海外製のジェネリックはその国では正式に認可された薬です。しかしそれがそのまま輸入されてくるという保証はありません。本物なのか偽造品なのかは個人輸入代行業者にもわからないことが多々あります。
さらに、その本物自体が危険という場合すらあるのです。外国製ジェネリックにはインド製のものが多く、シアリスでは「メガリス」、「タダリス」、「タダシップ」など大半がインド製です。インドでは医薬品製造に関する規制や監視が甘く、劣悪な製造工程のもとで作られている例が多々あるとされます(※5)。

ジェネリックを選んでも本当に問題がない?

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先発薬とジェネリックではどこが同じでどこが違うのか、効果に差がある場合にはどんな要因が考えられるのかといった点について、少し掘り下げて解説します。

ジェネリックの認可試験

ジェネリックの認可審査では「生物学的同等性試験」というものが行われます。先発薬とジェネリックを複数人に投与して血液検査を行い、成分の血中濃度が時間とともにどのように推移するかを測定します。先発薬とジェネリックの血中濃度が同じように推移していれば、医薬品としての効果は同等だと判断されます(※6)。
ジェネリックと先発薬の体内での作用は、細かく見れば多少の差があります。そもそも同一の薬であっても時と場合、個人差などによって作用には差が出ます。そこで、多数の人に薬を投与した結果を集計し、統計的に分析して比較する必要があります。作用の差異が一定の範囲に収まれば、治療効果に影響するほどの違いはないと判定されるのです。
このような統計学を使った検査・判定というのは一般人には非常に分かりづらく、医療関係者のなかにも統計手法を理解しないまま誤解に基づいて生物学的同等試験を疑問視する人もいるようです。

ジェネリックと先発薬の効果に違いが出る場合

ジェネリックと先発薬で明らかに効果が違うと思われる場合があります。一つは添加物によるアレルギーですが、アレルギーは先発薬の添加物でも起こりうることです。人によってはジェネリックのほうがアレルギーが出にくいということもあります。自分の体に合ったものを選べばよいのです。
もう一つの要因は心理的なもので、「ジェネリック=劣った薬」といった否定的な意識があると効果が弱められる可能性があります。
ただの砂糖の塊でも医師や研究者に「○○に効く薬」と聞かされて飲めば一時的に効果が感じられることがあり、安い薬よりも高い薬の方が効果が高くなるという例もあります。これらはプラセボ(偽薬)効果と呼ばれ、薬にはつきものです。ジェネリックに対してはこれがマイナスに影響する可能性があります。
EDの発症には心理的要因も大いに関わるため、ジェネリックに否定的な感情を抱いていると、薬の効果が弱まるだけでなく勃起を促す心理にも影響が生じてしまうことがあります。その結果「ジェネリックは効かない」と判断されてしまうことになるわけです(※6)。

自己判断は避け、医師と相談して自分に合った治療薬を選びましょう

結局のところ、先発薬かジェネリックかにはこだわらず、心身両面で自分と最も相性のよい薬を選ぶのが得策と言えます。
今後医療現場ではさまざまなシアリスジェネリックが導入され、薬剤の性質や価格の面で選択肢が増えていくと思われます。危険な通販薬を試してみようなどとは考えず、医師の診察のもとで効果と副作用を確認しながら自分に合ったものを探してください。

 

 

リファレンス
※1)沢井製薬 タダラフィル錠CI「サワイ」
https://med.sawai.co.jp/preview.php?
prodid=4681&prodname=
タダラフィル錠20mgCI「サワイ」

https://med.sawai.co.jp/preview.php?
prodid=4680&prodname=
タダラフィル錠10mgCI「サワイ」

あすか製薬 タダラフィル錠CI「あすか」
https://www.aska-pharma.co.jp/
iryouiyaku/item/detail.php?id=285

https://www.aska-pharma.co.jp/
iryouiyaku/item/detail.php?id=286

クラシエ薬品 タダラフィル錠CI「クラシエ」
http://www.kampoyubi.jp/
products/other_tl.html

本草製薬 タダラフィル錠CI「TCK」
https://www.honzo.co.jp/wp-content/
uploads/2020/04/a7d8ea512ed2394b
77b20d0d6487828e.pdf

ファイザー タダラフィル錠CI「ファイザー」
https://pfizerpro.jp/cs/sv/est
ablish-g/product/tadalafil.html

※2)日本ジェネリック製薬協会「ジェネリック医薬品について 2. ジェネリック医薬品に不安・疑問のある方へ」
https://www.jga.gr.jp/gen
eral/about/faq02.html

※3)日本ジェネリック製薬協会「ジェネリック医薬品について 1. ジェネリック医薬品を知りたい方へ」
https://www.jga.gr.jp/g
eneral/about/faq01.html

※4)ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、日本新薬株式会社、日本イーライリリー株式会社(2009年)「偽造ED医薬品四社合同調査」
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/o
mori/repro/patient/sexual_impairmen
t/tjoimi00000014vv-att/tjoimi00000014yk.pdf

※5)SankeiBiz「ジェネリック製造大国・インドに宣戦布告 製薬業界と戦う米国の男性」
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/
160407/mcb1604070500024-n1.htm

※6)厚生労働省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます ジェネリック医薬品Q&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryo
u/kouhatu-iyaku/dl/02_120713.pdf

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